プラシーボ効果とは
プラシーボ効果とはプラシーボ(偽薬)でも効果があると信じて飲むことで病気が良くなること。
※プラシーボとは、本物の薬に似せて作られた「偽薬」のことで、プラシーボという言葉は、ラテン語の動詞pleasureに由来しており、"好きになる "という意味です。
患者が、自分が飲んでいるくすりは効き目があると思い込むことで、本当に効くようになります。
プラシーボの種類
プラシーボには、錠剤、カプセル、注射液などの種類があります。
材料は小麦粉や砂糖、生理食塩水だけで、ただの水ということもあります。
一般的にプラシーボの錠剤やカプセルを飲んだ人よりも、プラシーボの注射を受けた人のほうが、より強いプラシーボ効果を経験することができます。
これは「飲み薬より注射の方が早く効く」という認識と関係がありそうです。
プラシーボ効果についての実験
2005年、ミシガン大学の研究グループは、14人の若い健康な男性のあごに塩水を注入し、痛みを誘発させました。
その後、プラセボが投与され薬が効いていることを告げられました。
プラセボを投与すると、脳のエンドルフィン分泌が活発になることがスキャンで確認されました。
被験者は薬を飲んだあと痛みが軽減されたと言っています。
プラシーボを使った臨床試験
プラシーボは、臨床試験で薬の効果を検証するために使用されることが多い。
例えば、コレステロールを下げる新薬の研究において、被験者を2つのグループに分けます。
一方のグループにはプラシーボを、もう一方のグループには試験対象となる薬剤を投与します。
しかし、誰も自分がどの薬をもらっているかは知りません。
研究者は2つのグループに対して、薬とプラセボの効果を比較します。
研究者は新薬の有効性を判断し、薬の副作用がないかどうかを確認することができます。
もし先発医薬品とプラセボが同じ結果を出した場合、その医薬品は効果がないと判断されます。
プラシーボは有効成分が含まれていないにもかかわらず、服用者の中には病気や症状が改善されたと感じる人もいるようです。
臨床試験でもプラシーボ効果が表れます。
プラシーボ効果で改善できる症状
薬の臨床試験では、約21〜40%の被験者がプラシーボ効果を経験するという調査結果があります。
この効果は、心拍数、血圧、心理状態、痛みの強さ、あるいは脳活動の変化など、さまざまなパラメーターに反映されます。
プラシーボ効果は特にうつ病、睡眠障害、過敏性腸症候群などに効果を発揮します。
実際、ある研究ではプラセボ薬を使用することでぜん息が改善されました。
この研究では、プラシーボ吸入器を使用したグループは、呼吸テストの結果が良くなりませんでしたが、不定愁訴の知覚が改善されたことが報告されました。
※不定愁訴(ふていしゅうそ):原因がはっきりわからないけれど、なんとなく体調が悪い」といった状態のこと。
プラシーボが効く原因
プラシーボが与えられると、脳はその薬が病気に効くと思い込み、痛みや頭痛が軽減されたり、気持ちが落ち着くなど、症状の改善を実感することができます。
研究の結果、プラセボは脳を刺激してエンドルフィン、ドーパミン、オキシトシン、セロトニンなどの化学物質を生成し、痛みを緩和したり心を落ち着かせたりする効果があると考えられています。
プラシーボ効果を実現するためには、精神的な暗示や心理的なサポートがプラシーボ効果に一役買っています。
患者が有効な治療を受けていると信じることが必要です。
医師はその治療をすることによって病気が治ると信じるように仕向けられる必要があります。
薬が効くと信じている人は、プラシーボ効果が表れやすく、薬の効果に懐疑的だとプラシーボ効果は出にくくなります。
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